発酵食品と一口に言っても、たくさんの種類があります。
発酵食品で思いつくのは、ヨーグルトやワイン、チーズ、日本で言えば味噌、醤油、日本酒、そして漬物などがあります。
食品である以上、消費者目線では、保存性はどうなの?という関心もありますよね。
実は、発酵食品は保存性の観点で2つに分かれることをご存知ですか?
どんな分け方ができるか、説明しましょう。
目次
保存性を天秤にかけて、時をどう捉える?
発酵食品は二つに分かれます。
・時を止めるもの
・時を活かすもの
つまり、発酵食品は時をどのように捉えるかで変わってくるのです。
何が何でも保存性死守!時を止める発酵食品とは?
時を止める発酵食品とは?どういうことなのでしょうか?
簡単に言うと、一時的に時を止めることで保存性を担保することです。
保存料や添加物など化学的処理を施し、全く微生物がないような環境にすることで、成分の物質の変質を防ぐということです。
また、熱を加えることで微生物を死滅させる場合もあります。(熱殺菌と言われます。)
このようにすれば、保存性を高めつつ味や色の劣化を防ぐことができます。
ぼちぼち保存でも良いんじゃない?時を活かす発酵食品とは?
一方、時を活かすという発酵食品とは一体どういうものなのでしょうか?
発酵菌が元気に増殖する中で、腐敗の原因となる微生物を呼び寄せないようにするのです。つまり、発酵する菌の力を活かし、腐敗菌の増殖を防ぎ、 腐敗を止め保存性を保つ。
それが時を活かす発酵食品です。
時を止める?時を活かす?どちらの発酵食品が良いの?
それでは、2つの発酵食品にはどのような良いところがあるのでしょうか?
時を止める発酵食品
・保存期間が長め(1ヶ月〜1年以上)
・常温保存でも大丈夫なものが多い
・味・色・匂いの変化が少ない
・発酵によるガスが出ない
時を活かす発酵食品
・保存期間が短め(半日〜3ヶ月)
・常温保存では発酵しすぎてしまうものが多い
・味・色・匂いの変化が出てしまう
・発酵によるガスが出るため包装袋の膨張・爆発が起こる
上記のように見ると、化学的処理によって時を止めた発酵食品の方がメリットが多いように感じます。
でも、添加物・保存料が入っていない方が良しとされる現代。
そもそも、どのような歴史があったのでしょうか?
昔は全ての発酵食品が時を活かしていた?
昔は、発酵食品はすべて時を活かすものでした。
なぜならば、 保存料や添加物などはもちろんなく、冷蔵庫などがなかった時代ななのですから。
漬物の成り立ちから考える時を活かす発酵食品
例えば、漬物の成り立ちから考えてみましょう。
3000年前、日本のどこか、海の近くで。
たまたま、かめの中に海水が入っていてそこに野菜が入った。
そうすると、生の野菜の時より長く置いておいても食べられた。
つまり、保存性が増していたということですね。
そこから漬物が発酵食品として、そして時を活かす保存食としての価値を認められた経緯があるのです。
なので、本来の発酵食品というのは、元々保存性のポテンシャルがあり、化学的処理として保存料や添加物など入れなくても十分に食べられるというのものでした。
なぜ保存料を添加?発酵食品に化学的処理をするようになったのか?
それでは、なぜ化学的処理をするようになったのでしょうか?
それは、戦前の時代までは年間500人以上が食中毒で死者が出ていました。
現代では一桁台なのですがそれほどまでに多いと、やはり対策をすることが重要でありました。
そこで生み出されたのが時を一時的にでも止める方法。
科学の力によって生み出された 保存料や添加物だったのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
時を止めるのか?時を活かすのか?発酵食品の2つの保存性の歴史について書いてきました。
現代では、保存料・添加物が悪者にされがちですが、食中毒を防ぐために生まれた、人々を救うものだったのですね。
ただ一方で、食中毒は急速に減少したものの、ある問題が出てきているのも事実です。
それは、保存料・添加物によって、体に悪影響が起きているのではないか、ということ。
記者は、どちらの良い点・悪い点を加味しながら消費者が選ぶ、ということが重要であると思います。
ちなみに、うちの漬物・提供しているぬか床は保存料・添加物が入っていない時を活かす発酵食品です♩
いくらでも語りたいのですが、時を活かす発酵食品の良いところについては、また別の記事でまとめますね。