私は300年の歴史ある老舗漬物屋の娘として生まれました。
漬物屋を創業した、祖父の祖母の白菜漬けの味を再現することから始まった家業。名水を活かし、自然発酵にこだわった漬物は、地元の多くの人に親しまれてきましたが
子供だった私にとって、漬物に囲まれた日々はごく当たり前のことでした。
そして、故郷の岩国を離れて東京で暮らしていた頃には、忙しさに終われ、清潔で効率的な食が周りに溢れていました。
漬物と発酵の魅力に気づいたのは、Uターンして、岩国で家業である漬物屋で働き始めてからです。
あまりにも「清潔さ」を重視する社会の中で、いつの間にか私たち人間のご都合主義で目に見えない菌は殺菌・滅菌され、私たちが菌と親しむことは薄れてきたのではないか。その結果として、ヒトの心と体、そして周りの自然は弱々しくなっているのではないか、という危機感を持ちました。
そして、「菌思考」という考え方をもっと広めたいと考えるようになりました。
私の考える「菌思考」とは、自分にあった菌や発酵の活用方法を見つけて、生活に取り入れ、続けていくこと。そして、菌と共に生きることを通じて、生きること、食べること、多様性・変化することを楽しむ姿勢をもっと持てるようになるのではと感じました。
そして、そんな菌や発酵に親しみながら自分の生活に取り入れる方法が「ぬか床」です。
ぬか床はお手入れに迷ったり、腐らせてしまう方も多いですが、300年前から菌と発酵に親しむ私達だからこそ、「ぬか床」を単なる「モノ」でなく生き物として育て、大切にしていく仕組みを提案します。
私達と一緒に、「菌思考」でいきる生活を始めてみませんか。
TOCOTO代表 中野百合子