ぬか友さんから、こんなご連絡をいただきました。
確かに、ぬか漬けを食べる大切な人の体を守るためにも、毎日の食卓の塩分量として、ぬか漬けの塩分、気になりますね。
それでは、実際の塩分量、そして、塩分を抑えるにはどうしたいいのでしょうか?解説していきます。
目次
1日に推奨される塩分摂取量
初めに、日本人が推奨される塩分摂取量をおさえましょう。
男性8.0g未満、女性が7.0g未満となっております。これを1食分とすると、摂取量としては男性が2.6g未満、女性が2.3g未満となります。
ぬか漬けに含まれる塩分量
それでは、実際に含まれている塩分量はいくらなのでしょうか。
100g当たりに含まれる塩分量を表にしました。野菜をぬか漬けにした場合、どれくらいの塩分が含まれているのか見てみましょう。【出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
一食分のぬか漬けの塩分量
例えば、きゅうりのぬか漬けであれば、
きゅうり1本(約85g)を0.5cm切った場合、
きゅうり3切れ(約15g):塩分0.8gとなります。
一汁一菜の場合の摂取塩分量
土井善晴先生も推奨されている一汁一菜。
味噌汁と漬物がある食卓では塩分量はどうでしょうか?
みそ汁のお椀1杯:塩分量1.2g
ぬか漬けきゅうりを3切れ:塩分量0.8g
合わせて、1食分の塩分量は2.0gに収まります。
1食分の推奨塩分摂取量としては男性が2.6g未満、女性が2.3g未満となりますので、十分、塩分量は控えられると考えられます。
漬物は塩分が多いのか?比較してみる
ちなみに、日本人は何から塩をとっているのでしょうか。
47都道府県のうち23地域に住む成人男女392人の食塩摂取源割合
※4日間にわたる秤量食事記録によって明らかにされた食塩摂取源。
総食塩摂取量(平均:1日あたり10.2g)に占めるそれぞれの食品に由来する食塩の割合(%)。曲線はその累積(%)
参照:https://www.ucoop.or.jp/shoku_de_kenkou/column/shokuen/
こちらのグラフから、しょうゆ、食塩(調理に使った塩も含む)、みそ、他の調味料(だしや風味調味料)などから多く塩をとっていることが分かります。
しかし、「塩といえば漬物」というイメージのある漬物の順位は意外に低く、パンと同じです。漬物とパンが同じ塩分量というわけではありませんが、減塩という観点でみれば漬物とパンは同等ということを意味しています。
また、一汁一菜の食卓をイメージしてみると、味噌汁1杯の塩分量が気になりますね。味噌汁1杯の塩分量は1.2gです。
きゅうり3切れ(約15g):塩分0.8gと比較すると、漬物の塩分量が多いと思われている方も多いと思われますが、漬物はそんなに塩分量が多いと言えないです。
ぬか漬けの塩分量を減らす方法
以上のように、一汁一菜の食生活であれば、推奨される摂取塩分量を超えることはなさそうです。
ただ、漬物をいつもより多く食べたり、醤油などの調味料などで塩分がオーバーしてしまう可能性もあります。
そのため、塩分量を減らす方法を考えていきましょう。
ぬか床への漬け方で塩分量を減らす
そもそものぬか漬け自体の塩分量を減らすために、漬ける食材に塩が入り込まないように、浅漬けにする漬け方です。
- 冷蔵庫で漬ける
- 切らずにまるまる漬ける
- 漬ける時間を短くする
このように、漬ける食材に塩が入り込まないようにすることによって、減塩な漬物が出来上がります。
ただ、弊害もあります。
- ぬか漬けの味・香りなどの風味が薄くなる
- 水分が抜けにくい
- 酸味が出にくい
塩は、細胞壁の破壊・浸透圧の仕組みを使い水分を抜き、味や風味を浸透させやすくする効果があります。
そのため、塩が入り込まないようにするということは、しんなりとした食感や、味や風味が出にくい漬物にはなってしまいます。
ぬか漬けの食べ方で塩分量を減らす
それでは、実際に出来上がったぬか漬けを食べ方で塩分量を減らす方法が塩抜きです。こちらは、漬けすぎてしょっぱくなった時にも有効です。
塩抜きの方法
塩抜きは出来上がったぬか漬けを、5~10分程、水に浸しておくことでぬか漬けから塩分の流出を促す方法です。
ただ、水に浸してしまうと、水っぽくなったり味が薄過ぎてしまうこともあります。その際には、鰹節など、他の調味料と一緒にすると美味しく食べることができます。
また、ぬか漬けの風味をそこないたくない場合は、
水にさらに塩を加え、塩分濃度1.5~3%前後の食塩水で塩抜きをしましょう。
塩もある程度抜け、ぬか漬け独特の風味をそこないにくくなります。
ぬか床に漬ける食材で塩分を排出する
塩分を排出する効果がある食材を漬けることもおすすめです。
例えば、ほうれん草、いも類、春菊などカリウムを多く含む具材は、塩分の体内吸収を防いでくれます。
また、わかめやごぼう、こんにゃくなど食物繊維の多いものも塩分の排出を助けてくれます。
また、ぬか漬けと一緒に、これらの食材を食べることも有効です。
ぬか床自体の塩分を減らすことは危険
ぬか漬けの塩分量を減らそうとして、むやみにぬか床自体の塩分濃度を下げては危ないです。
ぬか床は、最適な塩分濃度と酸性度によって腐敗菌の増殖を防いでいます。
ぬか床の中の発酵菌にとって良い塩分濃度と酸性度が保たれているからこそ腐らないのであって、塩分濃度を下げ過ぎると耐塩性を持たない腐敗菌が増殖しやすくなります。
自分のぬか床が最適か見極める
ただ、ご自宅にあるぬか床が最適な塩分濃度、酸性度であるかどう見極めたらいいでしょうか?
あるかは判断が難しいです。昔のご家庭であれば、長年の勘により、舌で判断していました。しかし、現在、どんなぬか床が最適であるか知る機会がないこと。比較することもできないので、難しいのではないでしょうか。
ちなみに、TOCOTOでは、ぬか床にとって、腐敗菌が繁殖しにくい値を塩分濃度(4.5~5.2%)と酸性度(ph3.5~4.2)を定義しています。
こちらの指標を元に、ぬか床10gがあれば簡単にできる、ぬか床の検査キットを提供しています。
老舗漬物屋のノウハウと客観的なデータを元に、現状の診断と今後の処方箋をお伝えしていますので、ご興味あれば画像をポチッとしてくださいませ。
漬物の塩分量が多いというイメージはなぜ?
これは、3000年前、漬物が保存食として生まれたことが経緯となっています。
高温多湿になりやすい日本においては、保存=腐敗菌の繁殖を抑制するために、塩を多めに使うことが求められました。
ただ、現代では冷蔵庫など、保存するための方法が揃っています。
そのため、現在の漬物は、無理に塩を加えなくても良くなり、昔に比べると塩の含有量は減っているのです。
まとめ
昔に比べて、意外と、漬物の塩分量は少ないことがわかりました。
また、漬け方や食べ方、食べ合わせを工夫することで、塩分を控えることができます。
このようにすれば、ぬか漬けを食べる自分や周りの方々の健康に磨きがかかりますね。
みなさんがぬか床・ぬか漬けとの付き合い方をより深めていけますように。
TOCOTOでは、300年の歴史ある漬物屋うまもんのノウハウから、ぬか床と仲良く過ごすための情報をお伝えしています。
また、TOCOTOこだわり、菌が20倍以上育つ自然栽培ぬか床キットもご用意しています。ぜひ、菌ちゃんとお互いに豊かな発酵生活をおくりましょう。